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裁判員裁判傍聴 その3

   

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昨日、8/6(木) 14:30すぎ、懲役15年の判決が出ました。

初の裁判員裁判、東京地裁の判決要旨
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081128-033595/news/20090806-OYT1T00913.htm

まず近隣住民3人の証言は信用性が高いとし、以下の事実他を認定。

被告宅の斜め前に住む被害者宅前には、植木やバイクが通りにはみ出していた。
被害者が植木の手入れをしており、競馬に出かけられずいらだった。
被告はペットボトルが倒れていたことに文句を言い、被害者は言い返した。
被告はサバイバルナイフを持ち出し、「ぶっ殺す」と言った。

対して被告の以下の証言は「そのような言動をとるとは考えがたく、信用できない」として認定されず。

「脅すためにナイフを見せると、被害者が『やるならやってみろ』と言い、あごを押し上げられた」

判決は、ほぼ検察の論告に沿っており、刑期もほぼ同。科学・客観的でない証拠・供述は積極的に認定されることはなく、物的証拠を根拠に主張を組み立てられる検察側が有利。被告の過去や犯行時の被害者と被告間だけのやり取りを元に、情状酌量を求める弁護は通用しにくいということになります。判決後の会見でも弁護側は「裁判員が若かった…被告と同年代がいれば…近所トラブルなどを経験していれば」と、弁護が認められなかったのを裁判員構成のせいにするなど、人も費用も限られているとは言え検察側に比べ、努力と情熱が足りなったように見えます。

マスコミに登場する識者は「一般感覚」が反映されたと評価
求刑16年、判決15年。大方の予想通り8掛けの12-3年より量刑が重くなりました。また、裁判員が、包丁でなくサバイバルナイフを持ち出した点と、娘の形見のサバイバルナイフを凶器に使った点を質問したことを、「法律関係者では思いつかない」としてました。特に後者の質問は被告の性格や考え方など引き出すのに成功し、判決に影響を与えたと思いますが、あくまでも「偶然」と考えられます。しかし、そういうハプニングまで含めて、裁判員制度は有効であり、初めての裁判員裁判も成功に終わった、ということにしたかったように思われます。

裁判員の問題点
審議日数の少なさ、法律だけではなく関連する知識の欠如、マスコミ・インターネットなどの情報による影響、安全保障、プレッシャー・ストレスなどによる心のケア、など多岐に渡ります。

裁判員制度の問題点
一番の問題点と思われるのは一生続く守秘義務。判決が出たら解除されるべき。また裁判員制度が適用される事件は「地方裁判所で行われる刑事裁判(第一審)のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪について」のみです。公害・戦争・(国際特許など)対外国企業・労働・(痴漢)冤罪・ライブドア事件etc…。これらのような、それこそ「一般感覚」が必要な裁判に適用されないのも疑問です。

ガス抜き
被害者関係を含め、一般人の間には裁判制度に不満・不信があります。いくら努力しても一定のそれは残るとしたら、いっそ参加させて当事者にしてしまえば、文句も言えなくなるし、「一般感覚」も少しは反映されて適度なガス抜きも期待されます。国や企業、アメリカ合衆国等が関連する裁判は一般感覚で判決出されたら困るから今まで通りと、裁判員裁判で裁かれても控訴すれば「やっぱり」今まで通り。そんなことの為に検察・弁護費用、裁判費用、裁判員日当などに税金を使うのは無駄に思えます。

←裁判員裁判傍聴 その2
http://echizenya.biz/yamabuki/?p=1816

←裁判員裁判傍聴 その1
http://echizenya.biz/yamabuki/?p=1805

Egawa Shoko Journal: 裁判員裁判を傍聴する 3
http://www.egawashoko.com/c006/000303.html

【裁判員 判決要旨(上)】「証人の供述は信用性高い」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090806/trl0908061607012-n1.htm

【裁判員 判決要旨(下)】「被告の供述信用できない」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090806/trl0908061625013-n1.htm

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